【石けん素地の製法】製法によって石けんの特徴が変わる!

≪目次≫
1.石けんの製造方法(石けん素地を作るまで)
・石けんの反応方法
2.釜炊き鹸化法
・鹸化塩析法
・焚き込み法
・冷製法(コールドプロセス)
3.中和法
・中和法
4.【注意点】気をつけなければいけないこと
・キャリーオーバーという落とし穴
5.【石けんを個体にする製法】石けん素地ができた後

【はじめに】石けんの製造過程について

石けんは製造過程において、[① 原材料から石けん素地(石けんのもと)を作るまで][② 石けん素地から固形石けんにするまで]の二つに大きく分けられます。
本記事で書いているのは、[① 原材料から石けん素地(石けんのもと)を作るまで]についてです。

1.石けんの製造方法(石けん素地を作るまで)

石けんは、原料と原料の化学反応によって出来上がります。その反応方法は、大きくわけて2種類に分かれます。

石けんの反応方法

鹸化(けんか)

【製法】
・釜炊き鹸化法(さらに細かく分けて「鹸化塩析法」「焚き込み法」「冷製法」の3種類がある)

中和

【製法】
・中和法

2.釜炊き鹸化法

釜炊き鹸化法は伝統的な石けんの製造方法で、釜に入れた原料油脂とアルカリ剤を混ぜて加熱し、鹸化反応を起こします。そうして石けん素地(石けんが固形になる前の状態)ができ、「脂肪酸ナトリウム」や「脂肪酸カリウム」が主な成分となります。

「釜炊き鹸化法」によって天然潤い成分の「グリセリン」ができる

製法過程において、脂肪酸から遊離して「グリセリン」ができます。しかし、このグリセリンには、メリットとデメリットがあります。

【メリット】
・グリセリンは保湿成分のため、グリセリンが石けん内部に残っている場合、肌に潤いを与える役目を持つ石けんができる。(化粧品などの保湿成分として配合されることも多い)

【デメリット】
・水分を吸着する性質があるため、グリセリンが石けん内部に残っていると、溶けやすい性質を持つ石けんになる。

【塩析】グリセリンや不純物を取り除く作業

そのため、このグリセリンや他不純物を取り除く「塩析」という作業をする場合があります。
塩水で何回も洗って不純物を取り除く作業です。この作業によって、グリセリンや不純物が少ない純度の高い石鹸が出来上がります。不純物の割合が少なく、石けんの主成分が「脂肪酸ナトリウム」や「脂肪酸カリウム」などが98%以上の石けんを「純石鹸」と言います。

つまり、手作り石鹸において、
・グリセリン配合の有無や配合量の違い
・石けんの主成分「脂肪酸ナトリウム」「脂肪酸カリウム」の割合の違い
は、この「塩析」という作業をしたかどうかで変わるのです。

鹸化塩析法

【手順】
① オリーブ等の植物油脂に苛性ソーダ(水酸化ナトリウム)を加えてよく混ぜる
② 上記を加熱して鹸化反応を起こす
③ 鹸化反応によって得られた「石鹸にかわ」(鹸化反応によってできたどろどろした流動体で、石鹸の元になる)を塩析して、石けん素地、グリセリン、不純物に分ける

焚き込み法

上記の「鹸化塩析法」の③の「塩析」をしない方法です。
不純物を取り除く作業を行わないため、石けん素地の中に、不純物や反応を起こさなかった植物油脂などが残ります。そのため、石けんの純度はあまり高くありませんが、未反応の植物油脂などが保湿成分の代わりになるため、肌に潤いを与える石けんが出来上がります。

冷製法(コールドプロセス)

【手順】
① オリーブ等の植物油脂に苛性ソーダ(水酸化ナトリウム)を加えてよく混ぜる
② 上記を加熱せずに自然的に鹸化反応を起こす
③ できた「石鹸にかわ」を塩析しない

加熱しないので、比較的簡単に石けんが出来上がります。そのため、家庭で作ることもできます。「焚き込み法」と同様に塩析としないので、未反応の植物油脂などが石けんに残って、天然保湿成分配合の石けんが出来上がります。

3.中和法

上記の鹸化法に対し、中和法は、最初に油脂を脂肪酸とグリセリンに分解するので、グリセリンは全く入りません。

中和法

【手順】
① 高圧分解釜で植物油脂を「脂肪酸」と「グリセリン」に分解する
② 「脂肪酸」だけを苛性ソーダ(水酸化ナトリウム)か、苛性カリ(水酸化カリウム)で中和する

「中和法」で作った石けん素地には、天然保湿成分の「グリセリン」が含まれません。そのため、多くのメーカーは、後で美容成分や保湿成分などを追加して配合します。このように、後から成分が配合されることの多い中和法においては、完全無添加石けんが存在する可能性が低いと言えます。
その後、中和法は多くの場合、機械練り製法で大量生産されることが多いです。

4.【注意点】気をつけなければいけないこと

「完全無添加石けん」を選ぶ際に、頭に入れておくべきことがあります。

製造過程で添加物を配合したら、その成分を表記する義務がある

当たり前のことなんですが、商品の全成分表示は義務化されているので、「どういう成分を使っているのか」「どの添加物(界面活性剤)を使っているのか」を成分表にすべて書かなければいけません。しかし、これは「製造過程において添加された場合」においての場合です。何を言っているのかと思いますよね。もともと原料に添加物が入っていたら、成分表記する義務はないのです。えっ!?

キャリーオーバーという落とし穴

「キャリーオーバー」とは、「持ち越された成分」の意味です。これだけだとよく分かりませんよね。

キャリーオーバーとは?

原材料の段階で、その原材料に対しても「添加物」を使用できます。その原材料を製造過程で加工していき商品を作ります。当然、多少なりとも原材料にもともと「添加物」が入っていたわけですから、商品に加工した段階でも「添加物」は残っています。この場合の「添加物」は成分に表示しなくてもいい、というのが現在の法律で認められているのです。これが「キャリーオーバー」の表示義務がないということです。

もっと分かりやすく説明すると、ある植物を原材料にして化粧品を作るとします。その植物自体に添加物を使用していたとしても、製造過程で添加物を配合したわけではなく、原材料にもともと添加物が入っているために成分表記をしなくてもいいのです。

これが石けんを作る時にもできるのです。石けん原料の植物油脂にあらかじめ「防腐剤・酸化防止剤・色素・香料」などの化学添加物を入れておくことで、出来上がった石けんの成分表記には「石けん素地」とだけ書いておけばいいのです。植物油脂という原材料にあらかじめ入っていた化学添加物の表記をする義務はありません。
ですから、成分表記において添加物名が一切書いていなかったとしても、本当にその商品に添加物が入っていないかは、実際のところ分からないのです。

※無添加と添加物(界面活性剤)について詳しく知りたい方は、【無添加と界面活性剤】商品の安全性と品質は何で決まるのか? をご参考くださいませ!

5.【石けんを個体にする製法】石けん素地ができた後

石けん素地ができたら石けんを固形にします。その製法は、昔ながらの「枠練り製法」と、機械で大量生産が可能な「機械練り製法」の2種類があります。実はその二つの製法によって、出来上がる石けんの特徴やメリット・デメリットが異なります。詳しくは、【石けん素地を固形にする製法】製法によって成分に差が出る! の記事をごらんくださいませ!

まとめ

石けんは、遠い大昔から存在しますので、製法も昔ながらのものから、大手メーカーの商品によく使われる機械的製法まで様々です。石鹸の製法によって、できあがる石けんの特徴はそれぞれ違いますから、製法自体がその商品の特徴として商品に明記されていることも多いです。製造方法を知っておくだけで、自分に合う石けんを選ぶ際の参考となりますよ!
しかし「キャリーオーバー」は驚きですよね。添加物を使った原材料については、成分表示の義務がないわけですから、たとえ「無添加」と書いてあったとしても安心せず、万が一肌に異常を感じたら速やかに使用をやめるなどの対応をしましょう。

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